ゲヒルン×mimoidのコラボから生まれたクリエイティブ──アプリでも企業名アピールでもなく、真摯に「災害」と向き合うための動画を追求

株式会社mimoid
代表 映像ディレクター/プランナー 細金卓矢氏、プロデューサー 別所梢氏、グラフィックデザイナー/アートディレクター 杉山峻輔氏

 ゲヒルンでは事業の柱の一つに防災情報の提供を据え、「特務機関NERV防災アプリ」やTwitterアカウントを通じて災害情報の配信を行ってきました。しかし、災害の記憶は時間がたつにつれて風化しがちです。東日本大震災をはじめ、多くの災害を経験してきた私たちの義務は何か、そして次の世代に遺すべきものは何か、一人一人が自分自身に問いかけるきっかけとして、ゲヒルンではmimoidの協力を得て5つの作品を制作し、公開しました。

 ゲヒルンとmimoidはそれぞれ何を考え、どのように共同作業を進めてきたのか。互いの姿勢を尊重しながら作品を作り上げるまでを振り返りました。

始まりはFlash板――実は古いゲヒルンとmimoidのつながり

糠谷:僕は中学生から高校生にかけてFlash職人で、当時から細金さんのことを知っていました。センスといい、音との同期といい、何から何まですごかったんですよ。2年くらい前に、NERVで防災をテーマにした動画を作ろうという話が持ち上がり、誰にお願いしようかと探していたときにTwitterでmimoidさんのリールを目にしました。調べてみたら細金さんが作った会社だということがわかり、「これはもう、連絡を取るしかない」という流れでした。

酒井:mimoidさんの設立はいつ頃でしたっけ……。

別所:設立は2020年3月ですが、本格的に動き出したのは7月ごろです。リールを公開した直後のタイミングでゲヒルンさんから連絡をいただき、あまりの素早さに「はやっ!」って思ったのを覚えています。

mimoid プロデューサー 別所梢氏

mimoid プロデューサー 別所梢氏

酒井:mimoidさんのコンテンツのどこに惹かれたんでしょうか?

糠谷:「この世界観やばいな」みたいな……語彙力がなくてすみません。でも、いろんな表現ができるなって思いました。NERV防災アプリの動画を作るなら、単にかっこいいものを作るだけではなく、世界観を大事にしたいと石森とずっと話していて、mimoidさんならそれを実現できるんじゃないかって思いました。

酒井:mimoidさんから見て、ゲヒルンからの問い合わせはどのように感じましたか?

別所:もともと特務機関NERV防災アプリを入れていたし、Twitterもフォローしていたので、「あそこから!」というのと、それから「速い!」というのが半々の感想でした。

そして、いただいたメールにははじめから企画の根幹が記されていて「お願いしたい」という意思を強く感じたので、ぜひこれは応えたいなと思いました。代理店やプロダクションを経由して依頼をくださることが多い中、クライアントさんから直にご連絡いただくのは初めてのケースで……「ちゃんと私たちのことを見て、それで連絡を取ってくださったんだ」というのがありがたかったですね。

酒井:初めてのミーティングはどんな感じだったんでしょう?

石森:「めっちゃ気難しい人だったらどうしよう」って、めちゃくちゃ緊張していたんですよね。思い込みなんですが、クリエイターって気難しいイメージがあって……。「アムステルダムを拠点にしている」というのがいかにもという感じで、緊張していました。

細金:今となってはめちゃくちゃ敷居が低くなっていてよかったです。でも、別所も言っていましたが、企画段階で呼んでもらえたことが一番うれしかったです。代理店経由の依頼だと、クライアントと代理店の間ですでに話がついていて、変更の余地のないものが定数として設定されてしまうことが多いのですが、すべて変数として変えようがありますよ、というところからスタートできてありがたかったですね。

ダイレクトなやりとりを通じて互いの哲学を理解

酒井:ゲヒルン側には「こういうメッセージを打ちたい」というコンセプトはありつつ、ある程度mimoidさんのセンスに任せたい、という気持ちもありましたね。

石森:そうです。われわれは映像に関しては素人なので、「自分自身に向けた自戒のメッセージである」という言いたいことを企画書に全部まとめ、あとは伝わる映像を作ってもらいたいと思っていました。あと、とびっきりおしゃれなものにしたいな、というのもありましたね。芸能人が出てきて「便利で安心、今すぐダウンロード!」みたいなのは絶対やりたくないな、と。

ゲヒルン 代表取締役 石森大貴

ゲヒルン 代表取締役 石森大貴

別所:「基本概念解説資料.pdf」と銘打たれた資料が送られてきたときは、ざわつきましたね。「概念が送られてきた」って(笑)。CMとなるとどうしても聞こえのいい言葉を並べがちですが、今回の企画では真摯に災害や被災者のことを考え、本音というか、よくないことも伝えようとしている姿勢が素晴らしいし、そこだけは絶対に取り違えないようにしようと思いました。

酒井:おかげで、ゲヒルンのことを深く理解していただいた上でいろんな提案をいただきましたね。素晴らしいクリエーターを通すとこうなるんだというのを目の当たりにして、とても印象的でした。

石森:でも、ご迷惑もおかけしました。まず「アプリのCMを作りたい」とお伝えしたので、最初の絵コンテではアプリのスクリーンショットをかっこよく並べていただく案をいただきました。あれはあれでいいなと思ったんですが、今回伝えたいのはそうじゃないと、概念に関する資料を送って軌道修正していただきました。おかげで工数がかかってしまったんじゃないかと思います。

別所:それでも、ゲヒルンさんとラリーを続けていく中で、どこまで具象化するかというチャレンジをきちんと受け止めてもらうことができ、こちらも自由に、想像の余地を残す形でイメージを作っていくことができました。その作業はすごく楽しかったですし、互いの信頼度も高まっていったと感じています。

酒井:こだわりの強いゲヒルンが、そこまでmimoidさんに信頼を寄せた一番の理由は何でしょう?

糠谷:僕らの信念や葛藤がある中、細金さんにはいろいろ調べていただき、概念的なところも資料としてまとめていただきました。それを見て、深く考えてくれているだけでなく、細金さんたちが持っている哲学と自分たちの哲学がどこかで一致しているな、ということに気づけたのが大きかったと思います。

石森:災害や防災というものを僕たち以上にシリアスに捉えて、逆に僕たちに対して「この表現は許容されない場合があるかもしれません」と提案したり、哲学を元に説明してくれたところが大きいです。絵作りの前に、普通の代理店やプロダクションだったら省いてしまうであろう説明をしっかりして、交通整理するところから始めてくれました。

別所:ゲヒルンさんとの打ち合わせは基本的に「話し合い」というイメージがすごくありますね。

あの映像の裏にこんなことが……制作裏話

酒井:リアルな災害の絵を使わず、抽象度の高い表現で「防災」を訴えることが、一連のCMのテーマでした。1本目は「伝承碑」がテーマでしたね。

「自然災害伝承碑」篇

特務機関NERV防災啓発動画「自然災害伝承碑」篇

細金:あれはたまたまインターネットサーフィンの中で印象に残っていたニュースで、ぱっと思いついたんですよね。結果的にすごくフィットしたなと思います。基本的にWikipediaとかを読むのが好きなので、調べられる範囲でそういうのを調べたりしています。

酒井:震災について深く調べていらっしゃるのと、ゲヒルンという会社についても理解しようとしてくれていることを感じました。あと、エヴァンゲリオンの世界観もわかってらっしゃるなと。

杉山:僕はエヴァンゲリオン直撃世代ですからね。最初の企画書ではフォントもエヴァに寄せてみたのですが、「伝えたいことはそうじゃない、パロディをやりたいのではない」という話をしました。そこから互いに方向性がわかってきた気がします。

グラフィックデザイナー/アートディレクター 杉山峻輔氏

グラフィックデザイナー/アートディレクター 杉山峻輔氏

酒井:間に代理店などを挟むと情報がフィルタされてしまうこともありますが、そこは2社で直接話せたことがすごくよかったなと思います。

櫻木:こういうプロセスを経て石森がmimoidさんに全幅の信頼を寄せ始め、後半はもう、「細金さんのやりたいようにしてください」という感じになっていきましたね。

酒井:2本目は「津波の歴史」篇でした。ダイレクトに津波の絵を見せるのではなく、テキストだけで「毎年、これだけの数の津波が来ている」と表現した挑戦的な映像でした。あのアイデアはどこから生まれたのでしょうか?

「津波の歴史」篇

特務機関NERV防災啓発動画「津波の歴史」篇

石森:まず「毎年のように津波が来ている」、そして「今年も来年も津波はあるだろうという前提で生活してほしい」ということを伝えたいと考えていました。自分の中にはそれしかなかったんです。mimoidさんにそれを渡したら、杉山さんが「こういうことですか?」と絵をあげてきてくださったんですよね。

酒井:あの見せ方はどうやって生まれたのですか?

杉山:データっぽいけれどデータに見えすぎない、ちょっとクールな感じを意識しました。ただ、僕は基本的にアイデアが降りてくる系の人間ではないので、ロジカルに、ひたすら試していくという感じです。一回作って、見せて、またちょこちょこ修正して……という作業を繰り返す形だったと思います。

酒井:ちなみに、細金さんはアイデアが降りてくるタイプですか?

細金:どちらかと言えば降りてくるタイプではないと思います。僕、着想する上でNGな表現というのはぼんやりと頭にありました。たとえば、赤ちゃんとおばあさんが手を握り合っている、といったエモーショナルな演出を見ると「ぬくもり」に直で寄りすぎていてむしろ冷たく感じてしまうことが多いので避けようと考えていました。個人的にはそういったものを丹念に除去した切削部分にぬくもりを感じます。だから今回のグラフィックに関しても、あまりエモーショナルな映像に頼らない方が、「データで災害にどう立ち向かうか」というゲヒルンさんのスタイルにも合うんじゃないかなと思いました。

酒井:3本目は阪神淡路大震災の話、そして4本目は「苔」でしたね。いったいなぜ苔で映像を作ろうと思ったんでしょうか?

「1秒でも早く伝えるために」篇

特務機関NERV防災啓発動画「1秒でも早く伝えるために」篇

「私たちの義務」篇

特務機関NERV防災啓発動画「私たちの義務」篇

細金:「苔のむすまで」と言ったりしますが、苔は時間経過の象徴だと思っています。時間の経過を端的に表現できるモチーフを探して、一番しっくりきたのが苔でした。

酒井:「時計」のようなモチーフもあると思いますが……。

細金:時計はどの時計も進み方が同じですが、苔は生息する場所によって成長具合が変わってきます。地震に対する被災者の方々の話をいろいろ調べると、「全然終わっていない」という方もいれば、「早く終わったことにしたい」という方もいらっしゃいます。10年という時間の重みがそれぞれまちまちで、時計のような画一的なものさしでは一概に計れないものだと感じ、そのニュアンスを表現したいというのはありました。

石森:でも、「苔でやりたい」って言われたときは、まったく映像がイメージできませんでした。「いいです」って言って大丈夫なのかなって(爆笑)

糠谷:でも最終的に、「細金さんだから大丈夫、任せてみよう」という話になりました。

石森:あと「見たことのないものを見てみたい」というのもありましたね。

酒井:しかもその苔、別所さんがわざわざご自分で育てたんですよね?

別所:植えました。で、1週間に1回霧吹きをして……水槽のレイアウトに詳しい友人にアドバイスをもらったり、苔の専門家に話を聞いたりして、現実世界にもあり得る生態系を再現しながら育てました。ただ、あまり完全な森には見えないように、ある程度「嘘の森」であることも表現したいという思いもありましたね。

櫻木:ぶわーっと霧が出てくるところも素晴らしい表現でしたね。

別所:最初はフォグマシンという霧を発生させる装置を使っていたのですが、霧が弱かったので、予備で買っておいたドライアイスを投入しました。そうしたらちょっとやり過ぎなくらいになって。

糠谷:あの映像と音楽、それにナレーションがマッチして、すごかったですね。

石森:ナレーションは声優の山寺宏一さんにお願いしました。宮城県出身の声優さんで、震災後もさまざまなチャリティ活動に参加されていたからです。しかも、エヴァのキャストでもある、ということでお願いしました。

別所:最初は難色を示したんです。山寺さんの声に情感が乗りすぎて、逆にフィクション性が出てしまうかなという懸念がありました。今思えばプロに対して失礼な話なのですが……。

酒井:普通の作り手ならば、逆の発想をしそうですよね。「有名な声優さんにお願いする方が注目されるから、いいじゃない」となりそうなところを、企画の根本に立ち返ってゲヒルンが目指すところを考えてくださるところが、mimoidさんはすごいなと思いました。

別所:短期的な目線で見ると、数字が稼げないというデメリットはあるかもしれませんが、長期的な目線でブランディングを確立していくことがゲヒルンさんにとって一番重要ではないかということは、何度か話し合ったように思います。

酒井:レコーディングはどうでしたか?

石森:山寺さん、一声目からもう素晴らしかったんです。ただ、最初はCMということで明るく元気に話していただいたんですが、「もっと暗くしてください」とお願いしてあのナレーションになりました。山寺さんにオーダーを出すなんておこがましいなと思って、もう大変でした。

酒井:その後、5本目のコンテンツとして、三菱自動車さんと共同で新たな動画を制作しましたね。あの見せ方はどなたが考えたのでしょうか?

「停電に備える」篇

特務機関NERV災害対策車両 紹介動画「停電に備える」篇

別所:細金が習作として手元で温めていた案を、今回のコンセプトに沿うようにマッチさせた感じです。

石森:最初は、奥尻島の伝承碑「時空翔」を撮影する予定だったんですが、台風が来て行けなくなってしまいました。その後、ジオラマを使った撮影案が出ましたが、撮影許可が下りず断念したんですよね。それで、mimoidさんが出した「ペンプロッターで書く」という企画が浮上してきました。

細金:ペンプロッター自体は、直前に他の企画で使ったのですが、まだ掘り甲斐のある素材だなと感じていました。それに、ペンプロッターの人間味のなさみたいなものが、ゲヒルンさんの企画の中核であるデータとすごく相性がいいなと思ったのが一番大きな理由ですね。

酒井:この案を初めて見たとき、社内のSlackは大興奮でしたよね。

石森:楽しいし、きれいだったし、絵になっているし……細金さんに作ってもらうと、だいたい何でも美しく出てくるんだというのが、この頃にはよくわかっていました。

酒井:実際の制作はどのように進められたのでしょうか?

杉山:一コマずつ線のアニメーションをつくったり、車の写真素材から効果的な線を抽出してトレースしたり、ペンプロッター用にスペックデータを整理するなど、細かな作業を重ねることでクオリティを高めていきました。

酒井:撮影時にちょっと不思議な現象もあったそうですね。

細金:ペンプロッターのデータは、SVGと呼ばれる形式で扱います。別に最短ルートを計算しているわけでもなく、たまたまデータの順番がそうなっていただけなんでしょうが、NERVのロゴを書いているときに「GOD」という文字が浮かび上がってきたことがあったんです。

別所:深夜2時くらいにそれが送られてきて、ぞわっとしました。ゼーレの思し召しかと(笑)。

浮かび上がるGODの文字

浮かび上がるGODの文字

酒井:5本目のコンテンツは、ゲヒルン単体ではなく三菱自動車さんと共同制作することになりました。けれど最初の案は、それまでゲヒルンとmimoidさんが作ってきた世界観とは違う、本当にCMっぽい内容でした。それで、スポンサーの意向を全否定するようなやりとりもありましたよね。

石森:「三菱のPHEV」と言ってほしいというリクエストはあったんですが、それと僕たちが伝えたい災害対策車両の話ってあまり重なっていなかったんですね。最初にもらった原稿には、全部の行に「三菱」が入っていて、一体何回言うねん、って思いましたね。

「三菱自動車が主語だと一般視聴者からすると他人事になってしまい、共感を得られません」「三菱のPHEVというフレーズを繰り返して名前にしがみつかず、PHEVの世界観を表した方が先進的だと思います」と、思い切ったメールをお送りしました。普通ならクライアントには直接言えないようなことを言える関係性が、この両者間なら言える関係性が築けていたからだと思います。

酒井:そこで三菱自動車さんがすごいのは、このメールを受け入れて軌道修正してくれたことですね。

石森:やっぱり、三菱自動車の担当者の方とも長年築いてきた関係性があり、「きっと前向きに捉えてくれるだろう」と思っていたので送ることができたと思います。

酒井:ただ、そうこうしているうちに制作が遅れに遅れてしまいました。mimoidさんは大変だったのではないでしょうか? 毎回、短納期で無理難題を押しつけていたんじゃないかと心配です。

別所:あの企画は、ペンプロッターでやると決まってから納品まで2~3週間でしたね。「やるぞ」、という感じで、おのおのやるべきことをやった感じです。ゲヒルンさんとの制作でいいのは、事前のすりあわせがしっかりしているので、途中経過を見せた段階で「やっぱり違う」とならないことです。作り始めてから、途中でひっくり返って別の方向性を探るというのが一番難しいので。それに直にやりとりをしているので、完パケ映像をお送りした時のテンションの高いメールにすごく励まされ、救われた部分がありました。

櫻木:届くとSlackで毎回盛り上がっています。語彙力が崩壊して、「あー、やばい」「すごい!」しか言えなくなりますね。

ゲヒルン 制作局 櫻木ハンナ

ゲヒルン 制作局 櫻木ハンナ

石森:普通は「受領しました」という事務的な感じかもしれませんね。僕は毎回、いただいたファイルをスマホでもパソコンでも、自宅の大きなテレビにも映して見ていますが、何回見ても「すごい、すごい」ってなりますね。

別所:そういう皆さんの様子が伝わってくるので、すごく手応えというか、やりがいを感じています。

酒井:でも、無理難題を言ってるな、ってことがけっこうありまして……。

別所:そういう意味では、細金は割とルールの穴をどう突くか、というタイプなので、縛りがしっかりしていればいるほど燃えるタイプだと思います。それに、そんなに無理難題をふっかけられたと思ったこともないので……。

細金:我々の考える無理難題というのは、やりたいことと言っていることが矛盾した状態で課題を投げられることですね。それが一致している限りは、たとえば実装方法が難しい、といったことは無理難題にはあまり含まれません。

別所:姿勢が一貫していること、プラス対話の余地があってこちら側からの提案に対してちゃんとフィードバックをいただけるので、無理難題感はないですね。

大きな反響、そして繰り返し自分自身の原点を振り返る動画に

酒井:今回のCMは、2021年3月に公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のシネアドとして一部の映画館で上映されましたね。映画館で自分たちのCMが流れたとき、どう思いましたか?

石森:いろんなことを考えました。「一番最後に差し込まれますよ」っていう情報をいただいていたので、「次かな、次かな」と思いながら待ってましたが、あの映像が山寺さんの声で、それもシン・エヴァの前に流れたのって奇跡だなと。序・破・Qまではひとりの観客として観ていました。でも、10年後のシン・エヴァは、2019年の0706作戦、シネアド、パンフレットをはじめいろんなところで関わることができて、本当に奇跡だなって。

別所:実は私、観に行く映画館を間違えてしまって……「来ないな、来ないな」って思っているうちに本編が始まってしまいました。詰めの甘い人生です。

杉山:僕は観ましたよ。CM枠の最後で、館内が暗くなるぎりぎりのタイミングで流れたので、観客がみんな、ビクってなっていました。山寺さんの声が流れるので、「あれ、もう本編が始まっちゃった?」って思ったんでしょうね。

糠谷:「NERVのだ」って言っている人もいましたね。裏話を言うと、あの映像を見て、うちに案件をお願いしたいというお客様もいらっしゃいました。「CMに感銘を受けました、何としてもゲヒルンさんにお願いしたい」とおっしゃっていただけました。

ゲヒルン 専務取締役 糠谷崇志

ゲヒルン 専務取締役 糠谷崇志

櫻木:採用に応募してくれた人もいますね。すごい効果ですよね。

石森:でも、あの映像に一番当てられているのは自分かもしれません。4本目の「私たちの義務」篇は、自分に宛てた自戒のメッセージなんですが、何度も見返しています。自分たちが何をやらなければならないのか、何を目標にアプリを作っていくのかを確認できる動画だなとつくづく思います。

ここまでの企画は、3.11や1.17といった日と関連付けて出してきました。これからもずっと毎年やることが大事なコンテンツだと思っています。

酒井:最後に、ゲヒルンからmimoidさんに伝えたいことはありますか?

石森:このインタビューもそうですが、みんながmimoidさんのすごさを知って注文が殺到してしまうと、うちが困っちゃうなって思います。

糠谷:僕は、mimoidさんにお願いして引き受けていただいた時点でもう満足していまして……ちょっと不思議な感じもしますね。ゲヒルンもインターネットで出会った人たちで会社を作っちゃった、という流れもありますが、そこから細金さんたちとお仕事ができて、Flashをやっていてよかったなって思いますね。





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